コインランドリーって実際に「楽」な事業なの?
私はコインランドリーを開業した時によく周囲の方からこう言われました。
「無人店舗だから手がかからなくて楽でいいよね」と。
そして多くのメーカー、販売店のサイト等でも「無人経営なので人件費がかからず効率的な事業」
といった内容が書かれているのではないでしょうか。
でも本当に「楽」で「手間がかからない」のでしょうか。
確かに人件費の面においては経営者側にとってのメリットも大きいと言えます。
しかし店舗を日々運営していて私が考えたことは
「無人店舗だからこそ手を掛けなければならない」ということでした。
私たちが飲食店や美容院など「お店」を選ぶ基準はたくさんあります。
お店の提供している商品やサービスの魅力、雰囲気、価格帯・・様々です。
でもそこには少なからず「接客」というおもてなしの姿勢も判断基準のひとつになるのではないでしょうか。
すると無人で運営するコインランドリーの場合は接客の技術力を活用できない分、
「言葉なくしてお客様をもてなす空間」をどのように設計して行くかが課題となります。
そこにはお客様の安心感や信頼感を得る為の防犯・安全面にも配慮せねばなりません。
基本的に無人で運営するコインランドリーは機器性能や品質に差があっても
「機器が設置された空間」というものはどのお店でも変わりません。
だからこそオーナー様の努力や工夫が必要ですし、それが他店との差別化に繋がるのだと思います。
私たちはどんなお店づくりをして行ったか
無人店舗で運営することの難しさというお話を前述させて頂きました。
では私たちが地域の中でどんなお店づくりをして行ったかというお話です。
私たちは開業当初、まったく経験がなかったので開業後も毎日のように
コインランドリーに通い詰め、お客様とのコミュニケーションを図りました。
もうこうなったらほとんど有人店舗と変わりませんよね(笑)
初めて来られたお客様に機器の使用方法を説明したり、コインランドリーに対する
率直なご意見を頂いたり・・・。この時の経験が今の経営にも大きく影響しています。
実際にどの年齢層のお客様がどの地域からどんな物を持って来られているのか。
来店動機や来店の判断基準などが明確になり、更なる商圏分析に繋がりました。
それは開業前にはじき出されるような人口統計や最寄駅の乗降客数、世帯数から
分析されたデータとはまた違ったものでした。
私たちはそれを開業当初から定期的に積み重ねています。
お客様に勧めるものは自分たちが良いと思った製品であることを考え、我が家の洗濯は定期的に店舗で行うことにしました。
お客様と一緒の空間で一緒に洗濯をし、お客様の隣で洗濯物をたたむ。
時には「子供の洗濯物って多いのよね~」「ウチは5人家族なの。たった2日間でタオルが山もりよ!」「孫の洗濯物を頼まれてさぁ」
なんて会話をしながら・・・。
一期一会で出会ったお客様と育児の話、お洗濯の悩み、おじいちゃんが洗濯された衣類を着るお孫さんの微笑ましい成長・・・。
多くのストーリーの中に「洗濯」があります。そんな私たちの暮らしは今でも変わりません。
これからのコインランドリーとは?~地域の中のコインランドリー~
昔、「コインランドリー」というと銭湯横にあるというのが定番でした。
そしてそこは地域の方の交流の場であり、ふれあいの場でした。
そういった昔ながらのコインランドリーは今や大物が洗えるような大型店に成長しています。
私たちは地域の中で次世代のコインランドリーはどういった役割が担えるのかを考えています。
私はよくこの業界の方に 「コインランドリーは待ちの商売だ」と教えられました。
ですが・・・待っているばかりで本当に良いのでしょうか。
私自身の経験でしかないのですが運営がうまく行かない時、つまづいた時・・私は常々思い返すのです。
「自分がこの地域のために何をしているか」ということを。
地域が何かしてくれるのを待つのではなく、自分が地域のために何ができるかを考えるべきではないかと。
これからオーナーになる方にはぜひ意識して頂きたいことがあります。
コインランドリーのエリアマーケティングをした時、この事業は商圏範囲が非常に狭いことが分かるはずです。
開業地域で運営するオーナー様ご自身がその地域とどう繋がるかも大切なことです。
その地域で行われるイベントに参加するのも良いでしょうし、地域の子供たちを見守ったり、
その場所で古くからご商売されている方から学ぶこともたくさんあります。
「地域と共にある店づくり」を私たちも考え続けています。